「神の前にいるとの自覚と畏れ」

使徒言行録10章17-33節

教師・久野 牧

わたしたちの信仰生活においては、今どこに向かって進んでいるのか、これから先どうなるのかわからないという状況がしばしばあります。わたしたちの信仰は、ある意味では、常に目標への途上にあると言って良いでしょう。それゆえ次のように祈るほかありません。「主なる神よ、あなたがわたしをどこへ導いておられるのかわかりません。しかし、わたしはあなたの命じられるままに従って行きます」。

使徒言行録の中のコルネリウスとペトロは二人とも、先行きや神の御心が良く見えない中で、祈りつつ神の御声に耳を傾け、命じられるままに、自分のなすべきことを選び取って行きました。ヤッファにいるペトロは、昼間見た幻について「これはどういう意味か」と思案に暮れていた時、カイサリアで同じように幻を見たコルネリウスからの使いの者たちが、ペトロのもとに来ました。神の霊が働きかけて、「今、ペトロを迎えに来ている三人の者は、わたしが遣わしたのだ。彼らと共に行け」と促しました。彼はカイサリアに向かって行きます。一方カイサリアでは、コルネリウスが親類や友人を呼び集めて、ペトロの到着を待っていました(24)。

こうして、神が書かれた脚本に従って、主の弟子ペトロと、異邦人でありつつ神を畏れ敬っていたコルネリウスの出会いの出来事が起こります。ある人の言葉です。「この二人の出会いにまさる美しい出会いはない」。そのように評されるほどに、この出会いは恵みにあふれたものとなりました。コルネリウスは最初、ペトロに出会ったとき、「足もとにひれ伏して拝んだ」と記されています(25)。それに対してペトロは「お立ちください。わたしもただの人間です」と告げました。ペトロの言葉に注目しましょう。神の前にあってはすべての人は等しい存在です。誰が上で、誰が下といった区別や差別はありません。これは福音による人間理解、人間観です。

ペトロは、さらに語ります。「神は、わたしに、どんな人をも清くない者とか、汚れている者とか言ってはならない、とお示しになりました」(28)。神の前にあっては人は皆等しいもの、同じ価値と尊厳をもったものであることを、ペトロは確信をもって語っています。ここでわたしたちが注意すべきことは、どんな人間も等しい存在であるということは、どんな人にも罪がないという意味ではない、ということです。罪人であることにおいて、また救われなければならないことにおいても、すべての人は等しいのです。ペトロが示していることは、ユダヤ人と異邦人との間に設けられていた壁は、人と人との和解と赦しのために御子キリストが十字架にかかって死なれた出来事によって取り除かれた、ということです。それが福音です。

そこでコルネリウスは次のように語りました。「今、わたしたちは皆、主があなたにお命じになったことを残らず聞こうとして、神の前にいるのです」(33)。この言葉に関して、「これほど頼もしい聴衆を持つことの出来た福音の説教者がほかにいるだろうか」とある聖書注解者が述べていますように、ここには神の前に心からへりくだり、熱心に神のみ言葉を聞こうとする砕かれた魂がいます。「主なる神がお語りになることを残らず聞きたい」と願って集まる聴衆がいる礼拝は、何と祝福されたものでしょうか。わたしたちの教会も、そのような礼拝者の群れとして整えられたいものです。礼拝は人間の集まりという要素を持ちながら、それを超えて超越的なこと、霊的なことが起こるところです。臨在の神がそれを起こしてくださいます。わたしたちは、神の前に出ているのだという畏れとへりくだりをもって、主の日毎の礼拝に連なるものでありたいと願います。

主日礼拝 2023.08.27

開会     10時15分
司会    栗林 聖子
奏楽    十時やよい

前奏
招詞詩編27篇13~14節 (旧約p858)
讃美歌23 くるあさごとに
祈祷
聖書使徒言行録10章17~33節 (新約p232)
信仰告白使徒信条
讃美歌68 ちちなるみかみに
説教「神の前にいるとの自覚と畏れ」
説教 久野  牧 (録画配信)
祈祷
讃美歌288 たえなるみちしるべの
献金と感謝祈祷
主の祈り
頌栄541 ちちみこみたまの
派遣と祝福コリントの信徒への手紙二、13章13節によって
後奏

主日礼拝 2023.08.20

開会     10時15分
司会    海東  強
奏楽    古賀 洋子

前奏
招詞詩編18篇29~31節 (旧約p848)
讃美歌12 めぐみゆたけき
祈祷
聖書詩編119篇73~80節    (旧約p962)
ヤコブの手紙1章19-27節  (新約p422)
信仰告白使徒信条
讃美歌347 こころにしのぶも
説教「御言葉に従い、聞き、行い、待ち望む」
神学生 海東  強
祈祷
讃美歌313 このよのつとめ
献金と感謝祈祷
主の祈り
頌栄541 ちちみこみたまの
派遣と祝福コリントの信徒への手紙二、13章13節によって
後奏

主日礼拝 2023.08.13

開会     10時15分
司会    栗林 恵一
奏楽    古賀 洋子

前奏
招詞詩編18篇25~28節 
讃美歌66 せいなる、せいなる
祈祷
聖書出エジプト記3章13~15節    (旧約p97)
ヨハネによる福音書8章58-59節 (新約p184)
信仰告白使徒信条
讃美歌162 あまつみつかいよ
説教「神の御名」
志免教会牧師  金 東祐(キム・ドンウ)
祈祷
讃美歌268 まごころもて
聖餐式
讃美歌205 わがしゅよ、いまここにて
献金と感謝祈祷
主の祈り
頌栄541 ちちみこみたまの
祝祷
後奏

主日礼拝 2023.08.06

開会     10時15分
司会    海東  強
奏楽    十時やよい

前奏
招詞詩編18篇21~22節 (旧約p848)
讃美歌12 めぐみゆたけきしゅを
祈祷
聖書申命記32章35節         (旧約p334)
ローマの信徒への手紙12章9-21節 (新約p292)
信仰告白使徒信条
讃美歌420 せかいのおさなる
説教「霊に燃えて、主に仕える」
(神学生) 海東 強
祈祷
讃美歌228 ガリラヤのかぜ
献金と感謝祈祷
主の祈り
頌栄541 ちちみこみたまの
派遣と祝福コリントの信徒への手紙二、13章13節によって
後奏

主日礼拝 2023.07.30

開会     10時15分
司会    栗林 恵一
奏楽    栗林 聖子

前奏
招詞ルカによる福音書4章18~19節 (新約p107)
讃美歌10 わがたまたたえよ
祈祷
聖書ルカによる福音書4章20~30節 (新約p108)
信仰告白使徒信条
讃美歌312 いつくしみふかき
説教「イエスの人格と神格」
会員 栗林ミチ
祈祷
讃美歌320 しゅよみもとに
献金と感謝祈祷
主の祈り
頌栄543 主イエスのめぐみよ
派遣と祝福コリントの信徒への手紙二、13章13節によって
後奏

「異邦人に働きかける神」

使徒言行録10章1-16節

教師・久野 牧

初代教会のキリスト教が、ユダヤの国という限定された領域を超えて世界的なものとして進展していくためには、克服されなければならない壁がいくつかありました。その代表的なものの一つは「律法」であり、他は「異邦人」の問題です。その二つが結びついた出来事が、10章1節以下に記されているコルネリウスの物語です。場所はカイサリアです。この町はユダヤの都市ですが、当時ユダヤを支配していたローマ帝国はここをユダヤを治める行政の中心地としていました。ローマからの総督は、このカイサリアに駐在していました。ローマの一つの部隊の百人隊長コルネリウスは異邦人でしたが信仰深い人でしたし、彼の信仰は神によって受け入れられていました。彼にある日「神の天使」が幻の内に現れて告げたことは、使いの者をヤッファへ送って、そこにいるペトロをカイサリアに呼び寄せなさいというものでした。彼はペトロを知りませんが、即座にペトロのもとへ使いを送りました。

一方、ヤッファにいるペトロも幻を見ました。昼のちょうど12時頃空腹を覚えていたときに「天が開き」幻が見えました。その幻では天から降りて来た大きな布のような入れ物の中にあらゆる動物が入っていました。そして天からの声が「ペトロよ、屠って食べなさい」と彼の耳に響きました。それに対して彼ははっきりと拒絶の意志を表しました。彼は旧約以来の食べ物のおきてに忠実であったのです。それに対してまた天からの声が響きました。「神が清めた物を清くないなどと言ってはならない」。このようなことが三度繰り返されて動物を入れた入れ物は、天に引き上げられました。これはいったい何を意味しているのでしょうか。

旧約、特にレビ記11章のおきてで、清いとされた動物は食べても良いが、清くない動物とされたものは食べることができない、と定められていました。ユダヤ人はこのおきてに忠実でしたし、ペトロもそうでした。ところがいまペトロが見た幻の中の入れ物には、清い動物だけでなく、清くないものも含まれていました。だからこそペトロは、清くないものは食べるわけにはいきませんと拒んだのです。彼は神を信じていないから神の命令に逆らったのではなく、逆に神を信じているからこそおきてを破ることはできないと言っているのです。しかしここでペトロのなすべきことがあるとすれば、「主よ、これはどういうことですか」と神に問うこと、そして神の新しい命令の中に秘められている神の深い意図を汲み取ろうとすることでした。神が「食べよ」と命じておられることの中に秘められている神のご意図は何であるかを問わなかったことが、このときの彼の足りなさ、弱さでした。

ここで神が示そうとしておられる真意は、清い動物と清くない動物の区別の廃止を通して、ユダヤ人と異邦人の区別を乗り越えさせることです。つまり神は新しい時代の到来を告げておられるのです。それはキリストの福音の前では、ユダヤ人も異邦人もなく、あらゆる民族や人種を超えて、すべての人が等しく救いへと招かれているということです。もっと積極的に言えば、異邦人への福音宣教が本格的に始められる時が来たことを意味します。ペトロはこれから起こる出来事の中で神の新しい啓示に目が開かれていくことになります。苦しむペトロですが、その苦しみを通して、キリスト教、そして彼の宣教活動は、新たな段階へと進んで行くことになります。神の前で乗り越えなければならないわたしたちの教会の枠、打ち破らなければならない教会の壁とは何でしょうか。それを正しく捉えて、わたしたちも次の段階への前進や飛躍を与えられたいと願います。

主日礼拝 2023.07.23

開会     10時15分
司会    加藤  治
奏楽    古賀 洋子

前奏
招詞創世記12章1~3節 (旧約p15)
讃美歌20 しゅをほめよ
祈祷
聖書使徒言行録10章1~16節 (新約p232)
信仰告白使徒信条
讃美歌67 よろずのもの
説教「異邦人に働きかける神」
説教 久野 牧  (録画配信)
祈祷
讃美歌214 きたのはてなる
献金と感謝祈祷
主の祈り
頌栄541 ちちみこみたまの
派遣と祝福
後奏

主日礼拝 2023.07.16

開会     10時15分
司会    海東  強
奏楽    十時やよい

前奏
招詞詩編18篇2~4節 (旧約p847)
讃美歌23 くるあさごとに
祈祷
聖書詩編116篇1~7節        (旧約 p256)
ルカによる福音書7章36~50節  (新約p116)
信仰告白使徒信条
讃美歌245 はいとちりとの
説教「涙で洗い、髪でぬぐう」
神学生 海東 強
祈祷
讃美歌301 やまべにむかいてわれ
献金と感謝祈祷
主の祈り
頌栄541 ちちみこみたまの
派遣と祝福コリントの信徒への手紙二、13章13節によって
後奏

主日礼拝 2023.07.09

開会     10時15分
司会    栗林 恵一
奏楽    十時やよい

前奏
招詞詩編17編6~7節 (旧約p846)
讃美歌79 ほめたたえよ
祈祷
聖書詩編19篇15節   (旧約p850)
エフェソの信徒への手紙3章16~17節 (新訳p355)
信仰告白使徒信条
讃美歌515 じゅうじかのちに
説教「内なる人を強めてください」
福岡筑紫野教会牧師  李聖勲(イ・ソンフン)
祈祷
讃美歌321 わがしゅイエスよ
聖餐式
讃美歌204 すくいのいきみなる
献金と感謝祈祷
主の祈り
頌栄541 ちちみこみたまの
祝祷
後奏